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ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された日本の「伝統的酒造り」。光栄菊酒造(佐賀県小城市)の日下智さんは、そんな酒造りの世界にテレビディレクターから転身した。廃業した古い酒蔵を復活させての再出発。だが、日本酒業界に特有の「高い壁」が立ちはだかったという。
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私はテレビディレクターから日本酒造りの世界に飛び込み、佐賀県で廃業した酒蔵を2019年に復活させ、新しい自分たちのお酒を造っています。
きっかけは13年、日本酒をテーマにした番組を制作した同僚から「一緒に酒蔵をやりませんか」と誘われたことです。地域に根ざし社会に寄与できる事業に強い魅力を感じました。
以前の日本酒のイメージと言えば、学生の頃に飲んだ安酒の悪印象。ですが、誘われたのを機に色々な日本酒を口にし、昔とは全く違うそのおいしさに魅了されていきました。各地の蔵を訪ねながら3年後に退職、もっと深く知りたいという思いから長野県の酒蔵に住み込みで修業もさせてもらいました。
修業中、美しい酸とうまみのバランスが素晴らしい酒に出会います。弊社の現杜氏(とうじ)が造る酒でした。翌年、同僚と共に新しい酒蔵の構想を語り、協力を得られることになりました。
しかし、酒蔵の設立は遠い道…